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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
 


 ***


「あっ、あああ……や……ん、はっ、あああっ」


 床には点々と、脱ぎ捨てられた衣類。

 ぎしぎしと軋む、ベッドのスプリングの音。

 乱れた髪。
 汗ばむ肌。

 イランイランの香りに混ざって、オスとメスが欲情した匂いが部屋に充満する。

 飽くことなく結合を繰り返した、白いシーツを濡らす飛び散った汗と、いやらしい粘液。
 
 シーツの上には、正常位にて繋がり、互いを抱しめるように折り重なったあたし達。

 「あ、あんっ、ああっ、ああ……っ」
 
 あたしは、眼鏡を外している朱羽の大きな抽送に身体を揺さぶられながら、汗ばんだ滑らかな朱羽の背中に指を立てて、彼が与える快感に声を押し殺せない。

「ああ……ひゃああああんっ」

「……ふふ、ここ……だね」

 熱に掠れた、気怠げな声。

「あっ、ああああっ、それ駄目っ、そこばかり突いちゃ駄目! 駄目、変になるっ!! あたしに変になるっ!!」

 拒絶の言葉を口にしながらも、朱羽によって拓かれたあたしの身体は熱く潤い、朱羽を奥深く迎え入れて、さらに欲しいと貪欲に腰が揺れる。

「朱羽っ、しゅ……ああああんっ」

「は……すごい……陽菜の、ぁ……な、かっ、喜んでる……俺を喜んで、ああっ、いやらしい……身体……っ、ん……っ」

 湿ったいやらしい結合音。

 朱羽はあたしの頭を上から優しく抱きしめるようにして、あたしの快感の坩堝に自らの猛ったものを打ち込みながら、ぞくぞくするほど色っぽい顔と切羽詰まった声を漏らす。

 あたしの身体の欠けた部分を朱羽が補い、あたし達はひとつとなる。

 欲に蕩けた顔で目が合う度にキスをしながら、身体だけではなく心も繋ぎあって、悦楽の彼方にあるものに向けてふたりで駆け上がった。

「あああっ、朱羽っ、好きっ、朱羽っ」

 触れあう熱い肌もその濃厚な匂いも、朱羽のすべてが好きでたまらなくて。愛する男が、あたしを女として愛してくれて、深くまでひとつとなってこんなに幸福感を感じさせて貰えることが嬉しくて。

 あたしの目尻から涙がこぼれ落ちる。
 
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