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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
その間、矢島社長はずっとタブレットで繰り返し流される映像を見ており、あたしははっと我に返って、矢島社長に声をかけた。
「使われている画像は、課長さんにお願いされて渡した館内を撮影した写真だとわかるけれど、このキャッチとか映像とか、素敵ねぇ。テレビにCMとして流したいわ」
「ありがとうございます。実はこれはパターンが三種類あって……」
朱羽が画面を右から左にずらすと、しっとりとしていたものから、家族で賑わうように編集されたのとなり、そして最後はN県のMAPと主要施設への電話番号などが記載されたものとなった。
「すべてひとつでもいいし、バラバラでもいいし、ランダムにも流せます」
「凄いわ、これを頂くとしたら、どれくらいなの?」
「サービスです。せめてもの」
朱羽は笑った。
「ふふ、そうやって次に繋げようとしてない?」
「はい、勿論。よろしくお願いします」
朱羽は笑って頭を下げ、あたしも頭を下げた。
「ははは、私も勿論次に繋げたいわ。だから初動をよろしくね」
「「はい!」」
「で、肝心の従業員の画面なんだけれど」
「タブレットのこの目立たないホームボタンに、さっき認証した親指か人差し指を当てて下さい」
画面に、認証中と出た後、すぐ館内マップとなった。
画面はスクロールや縮小も自在。
上には大きなメニューが出ていて、そこの『至急』ボタンを押すと、その押した場所がマップの中で赤く点滅するらしい。
「これが押されれば、全従業員のPHSに連絡が行きます。PHSの液晶画面に、場所が文字で表示されます」
朱羽は斎藤工務店からただ同然で貰ったPHSを見せて、タブレットの至急ボタンを押し、次に出てくる確認画面にOKを押すと、バイブにしてあるPHSがぶるぶると震え『客室3F SOS』と表示された。