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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
12月23日――。
結城は、プログラムも推していきたいと言った。
杏奈と朱羽と揃っており、少なくとも向島開発よりは技術力は上なのだから、裏方に回らせたくないと。やじまホテルのシステムのようなものを構築、開発していきたいと。
そのためには、プログラムを作れる人間が少なすぎた。
その人員補充をどうするか、二階の会議室にあたし、衣里、朱羽が呼ばれた。このメンバーでの会議は、あたしの中で"長老会議"と呼んでいる。
偉いひとが集まっているという意味ではなく、単に古株が揃っているからだ。まあ、古株を超える頭脳を持つ、若者も入ってはいるけれど。
「あてはありますけどね」
朱羽はこともなげに答えた。
……ここは以前、朱羽が壁を壊した会議室だ。今も名残があるが、本人は気にもしていないようで、見向きもしていない。
……朱羽、これ七不思議のひとつになっちゃっているんだよ……。
「あるのか!? なんだ、どこだ!?」
結城が身を乗り出すと、朱羽は怜悧な瞳で結城を見据えて言った。
「ひとつは、忍月コーポレーションのシステム開発。月代会長と俺がいたところです」
「お前っ」
さすがに朱羽の発言にぽかんとしてしまい、あたし達は開いた口を塞ぐことが出来なかった。
……結城は、即戦力があるプログラマーをどこから調達すればいいのか、急募で一般募集しておかしな奴が来て連携取れなかったら、今の結束を乱されたくないとか、家でも色々と悶々と考えていたらしい。
それを結城が難題なんだと口にして、ものの数秒で朱羽が、あたし達が考えてもいなかった、選択肢を提示したのだ。
「俺思ってたんですよね。シークレットムーンが忍月コーポレーションの直下のIT部門であるのに、なぜ忍月コーポレーションにもシステム開発部が存在しているのかって。だったらITはすべてシークレットムーンと、統一すればいいと。それだけの力はあるかと」