この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
「でもさ、結城。香月の言うとおり、ふたつを引き入れることが出来たら、大きいことが出来るよ? 二階使ってもいいから、大きいサーバー室にして、ネットを繋ぐプロバイダー業も出来るしね。今まで出来ないことは出来ると思う」
「うっわー、ますます俺、追い詰められたー」
結城が棒読みだ。
「結城さんなら出来ると思います」
「うっわー、香月が人ごとー」
またもや棒読み。
「いやいや、朱羽だけじゃなくて、あたしもむっちゃん信じてるよ」
「むっちゃん言うな!」
お、戻った。
「ま、あんたひとりで出来なさそうなら、私がしてあげてもいいよ?」
「あ?」
「だって出来る自信がないからぐだぐだしてるんでしょう? だったらそれくらい、私がちゃっちゃと説得してくるわよ」
すると結城は口をひん曲げて、衣里に言う。
「このでかい仕事は、俺がやるからいいんだ!」
「へえ、出来る自信があるんだ?」
「自信……」
「あら、ないの? だったら……」
「あるよ、自信! やってやるよそれくらい!」
「男に二言はないね?」
「ああ、ねぇよ! 俺はやるったらやる! 絶対了承とってきてやる!」
衣里はにんまり笑った。
「……なんだ。やる気になってるじゃない。というわけで、結城社長がひとりでお仕事をすることになりましたー。はい、拍手ー」
パチパチパチ。
あたしと朱羽は拍手をした。
「くっそー、真下に乗せられた!」
悔しがる結城に、あたし達は吹き出した。
・
・
・
・
杏奈は結論を保留にしたらしい。
向島は嫌だと断言しないのは、杏奈の中になにかがあるのだろう。
向島開発の大勢の社員のことか、それともそれをまとめる専務のことか。
杏奈は専務とお別れしたけれど、杏奈と専務が復縁出来る未来はあるのだろうか――。
……木島くん、どうするんだろうね。