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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
 

「でもさ、結城。香月の言うとおり、ふたつを引き入れることが出来たら、大きいことが出来るよ? 二階使ってもいいから、大きいサーバー室にして、ネットを繋ぐプロバイダー業も出来るしね。今まで出来ないことは出来ると思う」

「うっわー、ますます俺、追い詰められたー」

 結城が棒読みだ。

「結城さんなら出来ると思います」

「うっわー、香月が人ごとー」

 またもや棒読み。

「いやいや、朱羽だけじゃなくて、あたしもむっちゃん信じてるよ」

「むっちゃん言うな!」

 お、戻った。

「ま、あんたひとりで出来なさそうなら、私がしてあげてもいいよ?」

「あ?」

「だって出来る自信がないからぐだぐだしてるんでしょう? だったらそれくらい、私がちゃっちゃと説得してくるわよ」

 すると結城は口をひん曲げて、衣里に言う。

「このでかい仕事は、俺がやるからいいんだ!」

「へえ、出来る自信があるんだ?」

「自信……」

「あら、ないの? だったら……」

「あるよ、自信! やってやるよそれくらい!」

「男に二言はないね?」

「ああ、ねぇよ! 俺はやるったらやる! 絶対了承とってきてやる!」

 衣里はにんまり笑った。

「……なんだ。やる気になってるじゃない。というわけで、結城社長がひとりでお仕事をすることになりましたー。はい、拍手ー」

 パチパチパチ。

 あたしと朱羽は拍手をした。


「くっそー、真下に乗せられた!」

 悔しがる結城に、あたし達は吹き出した。



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 杏奈は結論を保留にしたらしい。

 向島は嫌だと断言しないのは、杏奈の中になにかがあるのだろう。

 向島開発の大勢の社員のことか、それともそれをまとめる専務のことか。

 杏奈は専務とお別れしたけれど、杏奈と専務が復縁出来る未来はあるのだろうか――。

 ……木島くん、どうするんだろうね。

 


 
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