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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
午後六時――。
「やっべ、皆!! プレゼント、明日のプレゼント今日までに用意しないといけねぇのに、お前達もう買ったのか!? 買ってねぇ奴立て!」
結城の声に、ガタガタと立ち上がったほぼ全員の社員は悲鳴を上げた。
あたしも立ち上がった。朱羽も立ち上がった。
「鹿沼、お前幹事なのに、買ってないのか!? 涼しい顔の香月も!?」
「結城さん。ここ毎日、全員店がしまっている時間に帰っていたんです」
「だよな、だよな! 買って無くても仕方がないよな!」
朱羽が仲間だと嬉しいのか、喜んだ声を出した結城に、隣で座っている衣里の冷たいひと言。
「私、土日に買ったけど」
「土日は、ジムで忙しい!」
「ジム行ける時間あるのなら、プレゼントも買えるでしょうが。単純に忘れてたんでしょう」
「ぐっ……」
「「むっちゃん社長ファイト!!」」
どこからともなく野次が飛び、結城は定番の台詞を叫ぶ。
「むっちゃん言うな!」
「お黙り、筋肉馬鹿!」
「ぐっ……」
笑いが絶えない。
あたしと朱羽がシークレットムーンに戻って招待状を手書きで書いて渡してから、締切り間際の仕事に忙殺されて、残業ばかりしていた。
さらにはやじまホテルのPHS設定やタブレット確認やアプリダウンロードなども100個ずつだし、全員に手伝って貰ったり、病室でも内職のように皆仕事をしていて、会長が構ってくれないと泣き真似をするほどに、嬉しい悲鳴を上げて仕事をしていたのだ。
土日は本家に行ってたし、皆は休養を取っていただろう。
そんな中、プレゼントを要請した幹事の身としては、皆に申し訳ない。
「かーっ、今日は残業なし! ここんところ残業ばかりだったから、今日こそ全員即撤収! ちゃんと保存してパソコンの電源を切れ! プレゼントを既に買った奴は、盛り上げグッズを再度検討! 買ってねぇ奴は、3,000円以内! 明日の11時、病室集合!! 以上!!」
「「はいっ!!」」
幹事も返事をした。
「最後の奴、戸締まりしてくれよ、じゃあなっ!!」
「「お疲れ様でした!!」」
……皆走るように出て行って、がらんとした部屋にあたしと朱羽だけが残る。まだあたし、パソコンも消していないのに。