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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
 
 

「………」

「………」


 見つめあった互いの瞳が揺れた。

 彼の手があたしの手から離れ、あたしの尻に回され、そのままぐぐっと……さらに引き寄せられる。

 見つめ合う距離が縮まり、次第に真顔になった彼の顔が斜めに傾きながら、軽く触れた。

 それだけで息を乱すあたしに、彼は長い睫に縁取られたその目を妖艶に光らせて、あたしの耳元に口を持ってきた。


「主任を、女として愛してます」


 甘く囁かれた声にぞくっとする。

 誰もいない会社の中、いつもの朱羽とはまた違う上司の顔での告白に、身体が熱くなってくる。

 わかっているのに、心がときめいてしまう。


「主任は?」

 魅惑的な口元がまたあたしの前に現われて、誘う。


「あ……」

「あ?」


「愛してます……」

 声が震える。

「誰を?」

「課長を、愛してます」

 そう言って、彼に抱きつき顔をすり寄せると、あたしの背中に大きな腕が回され、距離はゼロとなった。


「主任」

 熱っぽい声にドキドキして、顔を見上げると、背中の手があたしの後頭部を撫でるようにして、唇が重なった。

 もぐ、もぐとゆっくり唇を食まれ、触れあってはすぐに離れる唇は、やがて堰を切ったように深く重なり、熱く潤った舌が絡まった。

 いやらしい水音と、甘い声を漏らしたキスは、やがて情熱的になり、身体を密着させながら、同じリズムで身体を揺らしながら、互いの愛をぶつけあう。

 おでこをくっつけたまま唇が離れれば、甘える声でせがむあたしの唇が、彼の唇に触れ……そして視線を絡ませて、笑った。

「……陽菜、ドキドキした?」

「うん……」

「刺激をあげないと、陽菜に飽きられちゃうからね」

「そんな……っ」

「俺、今でも必死。あなたを繋ぎ止めたくて」


 ちゅっとまた唇が触れた。

「可愛い俺の主任に、もっと刺激的なご褒美あげる」

「え……ちょっ」

 朱羽の手があたしのブラウスのボタンを外していたのだ。
 
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