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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
明日は、全員が出席してくれるという。
当主は、朱羽の方に連絡があったらしい。
――勿論いくぞ。……なあ朱羽。3,000万のプレゼントって、どんなものがいいんだ? 家か? 車か?
……3,000円です、お祖父様。単位が違います。
やはり庶民の感覚はなかったらしい。
もし朱羽に聞いていなかったら、3,000万円のプレゼントを用意したのだろうか。……それはそれで盛り上がって面白いかもしれないけれど。
その時、目に入ったのは『月の秘密』という名前のパワーストーンショップ。赤札を窓につけて、セールをしていた。
白黒が好きなあたしは、色とりどりのパワーストーンとか宝石にさほど心を引かれることはなかったけれど、たまたまお店の名前が、『シークレットムーン』だったことから店内を見た。
つるっとしたのとか、どっかからか掘ってきたようなとげとげの水晶がついた原石とか棚に並んでいるけれど、これを貰って嬉しいだろうか。
……よくわからん。
「お客様、どんなものをお探しですか? ブレスレットにでもストラップにでもネックレスにでもお作りしますよ?」
品の良い女性がにこやかに声をかけてきた。
「今はスマホだから、ストラップは……。予算が3,000円でクリスマスのプレゼントにしたいんです」
そう言うと、店員は少し考えてなにかがつり下がっているところにあたしを連れた。
「色々な石をいくつか繋いで、キーホルダーにすることも出来ます」
「キーホルダー……」
それだったら、どこかにくっつけて飾って貰えるだろうか。
見たのは大きさが違う黒い石に、お花のような銀のアクセントの装飾が生えて綺麗だった。
「今は40%引きなので、3,000円で豪華なキーホルダーが作れますよ? どんな石をお探しですか?」
「よくわからないんです……」
「ではお好きな色は?」
「白黒……です」
気の良い店員さんに申し訳なくなってしまった。
こんなに色とりどりの石があるのに、モノトーンなんて。