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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
あたしは、手帳が当たった。
まだ来年のを用意してなかったから嬉しい。
しかも格好いい黒いカバーで、ほくほくだ。
朱羽が当たったのは、紳士物の手袋。
……あれはひとりで歩く時に使って貰おう。
「俺に抱き枕、誰っすか? この可愛い白いニャンコのは」
木島くんの声に、朱羽がおずおずと手を上げた。
あの大きいのは、抱き枕だったのか。
やっぱり白い猫なんだね。
それに木島くんが抱きつくのかぁ……。
ご当主は、名取川文乃が用意した茶道のセットがあたったらしい。
プレゼントで茶道具というのも凄いけれど、それを当主が嬉しそうにして「これは密会のお誘いかの?」などともじもじするから、彼女は「私は人妻です!」と怒っていた。
矢島社長は、全国で使えるやじまホテルのペアでの無料宿泊券を出したらしい。
「自腹切らなかったから、3,000円でなくてごめんね」
……それがあたったのは杏奈。
杏奈が誰と行くのかを巡って、向島専務と木島くんがまた見つめ合っている中、
「千絵ちゃん、一緒に行こうよ」
「うわぁ、嬉しいです」
……そんな結果になったのを、ふたりは知らない。
あたしが買ったキーホルダーは……。
「うお、なにこれ。すげぇパワー感じるんだけど」
結城にあたった。
「恋愛運仕事運邪気払いなんて、俺無敵じゃねぇ? 誰だよ、こんな凄いの買ってきたの!」
「はいはい、あたしでーす!! 割引してたの!!」
「車のキーホルダーにするわ、さんきゅ!」
「どういたしまして!」
じとりと横から視線。
「へー、結城さんの恋愛運上げてあげるんだ?」
朱羽だ。また誤解してしまったようだ。
「あのね、奴があたったのは偶然だから! 多くのひとは恋愛運が欲しいかなと、そういうのが入ったものに……信じてよー」
朱羽のご機嫌が直るまで、時間がかかった。