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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
悲喜こもごものプレゼント交換を終え、あたしと朱羽は代表して、会長にプレゼントをあげた。
「会長、これ膝掛けです。車椅子に乗れるくらい元気になるようにと」
……これは、衣里の案だった。
だけど衣里は自分で渡しても受け取ってくれないだろうから、皆で用意したことにしてくれと、あたしに泣きついてきたのだった。
「わかった。頑張るぞ~。ありがとうな!」
衣里は言わなかったけれど、かなり高価な膝掛けなのだろう。
会長が包装をあけて出てきたのは、会長の好みに合いそうな……ちょっと派手目系のもので。
会長は痩せた顔で破顔し、衣里は静かに潤んだ目を伏せた。
「お~、山本~」
「はいっ」
会長の声ですくりと立ち上がったのは、一番の古株経理の山本さん。
彼女は沢山の封筒を握りしめていた。
「俺からのクリスマスプレゼントだ。受け取れ」
皆が???を出している中、山本さんが社員全員の名前を呼ぶ。
あたしも呼ばれたからその封筒を貰った。
この中に目録みたいなものが入ってるとか?
皆封筒を開けずに、照明に向けて透かして見たりしている。
「はい、開けてよろしい」
会長の声で一斉に封筒を開けた。
そこには――。
「ボーナスだ!!」
明細書が入っていた。
皆、今年はボーナスが出ないものだと思っていた。
それが――。
「ご苦労さん!」
給料3ヶ月分。
いつもいい時で2ヶ月分だったのに。
あたし達は会長の部屋で並んで、お礼を言った。
「「ありがとうございました!!」」
「これからも皆で力を合わせて、頑張ってくれ」
「「はいっ!」」