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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
「あたしは朱羽が好き。別れる気はありません。だけど朱羽が誕生日をあたしが教えていなかったから、怒ってどうにかなっちゃうかなと、あたしが心配しただけから」
朱羽はじっとあたしを見ている。
「誕生日を教えてくれなかったからと、俺があなたに怒って別れるなんてありえないし、俺、そこまで狭量?」
――本当に香月さま、あなたと家に戻られる時嬉しそうですし、そこまで狭量な方ではないと思いますけれど。
「じゃあなんで銀座まで……怒って仕方がないからじゃ……」
朱羽は眉間に皺を作った。
「意味があるから行ったんだよ。俺どこまで家出する奴なのさ」
――大丈夫。意味があって、遠くに行かれたんでしょう。今日は聖なるクリスマスです。あなたの恋人はちゃんと帰ってきますから、安心してお待ち下さい。
「意味ってなに?」
「その前に、下のコンシェルジュからこれを貰ったんだけれど」
それはクリスマスカード。
『幸せをお届けします サンタ』
……いい奴だぁ、コンシェルジュサンタ!
「あ、うん。メリークリスマスって言ったから。で、意味は?」
「ホテルに行ってからでもいい?」
「やだ。安心したい。なに?」
朱羽は思い詰めたような顔をしながらも、あたしの手を引いてソファに座った。
「誕生日プレゼントを買いに行ってたんだ」
「銀座まで!? クリスマスプレゼントもあるのに!?」
朱羽は真剣な眼差しであたしを見て言う。
「あなたの誕生日は特別なんだよ。俺とまた年の差が開いてしまうから、だから誕生日にどうしても渡したいものがあったから」
「銀座に?」
「そう」
朱羽は、コートのポケットから小箱を取り出し、あたしの手のひらに乗せた。
これは――。