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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon

「貸して下さい。こんなのすぐ出来ますから!」
うう~、バイリンガルなら自分でやればいいじゃないか。
絶対あたしが英語と表計算苦手だと見抜いて言ってるんだ。
原文どこからもって来たのよ、今までカタカタしてたのはまさかこの英文を打ってたからかとも思ったが、プリントされたのはどこかのWEB頁のものがほとんどだった。
一体なにをカタカタしていたのかはわからないけれど、今はネットで翻訳出来る時代なんだから!
さあ、翻訳画面開いて、和訳したい英字を入力して……。
バチバチバチバチ。
あ、スペル間違えた。ああもう目がチカチカする。なんで英字になると、こんなに行数多くて小さくプリントされるのよ。どこまで打ってたの、あたし!
これならWEB頁探して、マウスでコピペした方が早いじゃん!!
「これ画像の印刷ですから、コピーは無理ですね」
あたしの心の声はただ漏れだったのか。
聞いていないふりをして、画面を睨み付けるようにしてバチバチしているとおかしな声が聞こえた。
「ぶはっ」
「!! 今、笑いました!?」
「いいえ?」
課長は再び眼鏡をキラリと光らせ、いつも通りの冷ややかな表情だ。
笑われたと思ったけれど、また気のせいだった。
「思うように進んでいかない……。なんか英語に拒否反応で、蕁麻疹出てきそう」
休憩室の椅子に座り、きゅっとなる酸っぱいレモンジュースを飲んでいたのだが、クエン酸はあたしの元気に繋がらない。
「はぁ……。ってなに!?」
突然あたしの首に巻き付いた腕に驚いて見上げれば、
「よぉ、鹿沼」
結城だった。

