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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 

 万歳三唱の皆から離れて、課長がふらふらと休憩室の方にいく。

 あたしは後を追いかけて、自販機でペットボトルのお茶を買っている課長に頭を下げた。


「お疲れ様でした」

「いえ、別に私は」

「課長がいなければ、会社の危機でした。本当にあたしなにも出来ないんだなあと、つくづく思いました」

「………」

「技術はないですが、それ以外のことは頑張ります。なんでも仰って下さいね」


 課長はペットボトルに口をつけてから言った。


「それは今日のご褒美ってこと?」

「褒美……と考えてもいいですが、なんだか偉そうだな」


「だったらひとつ」

「はい?」


 ちょいちょいと指を振られて呼ばれ、あたしは課長に近づいた。

 
 その時までは、褒め称えたい誇らしい気分であたしは胸一杯だったんだ。

 たとえ年下だろうが、さすが飛び級コロンビア大! しかもあの天下の忍月コーポレーションに早期入社の意味がわかったと。


 課長はあたしの耳に囁いた。



「今夜、俺の家に来て」


 ちょっと熱に掠れたような、艶っぽい声で。


 
 
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