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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon

「周りを見て下さい。なにが見えますか!?」
ややしばらくして聞こえた。
『月』
「起きてますか、寝てますか!?」
『寝て…ます』
倒れてるのかい!!
その時、電話の中から爆音での音楽が聞こえてきた。
あたしの耳にも聞こえてくるそれは、今あたしの横を通り過ぎた白い車からだ。だということは、もっと行った先に課長がいるはずだ。
『ヒナ……さん』
「はい、なんですか!?」
『ヒナ……会いたい……』
泣いているような声に、胸がぎゅっと締め付けられる思いになりながら、やがて行き着いたのは街路樹のところで、スマホを持ったまま倒れ込んでいる課長を見つけて走ったらヒールの踵が折れたが、ヒールを投げ捨てて走った。
「課長!! しっかりして下さい!!」
「ん……」
やばい、かなり熱い。
「寒い……」
「当然です、外で寝ないで下さい」
背負うようにしてズルズルと引き摺りながら、やっとのことでタクシーを拾う。
「どちらまで?」
「あ、はい」
課長のご自宅どこですか?
聞いても返る言葉がない。そこで、仕方がなく……。
『お前、本気で嫌がらせか!? 俺をイカせろよ!!』
怒りまくる専務から、なんとか課長の住所をゲットして車を進めたのだった。

