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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
しかしなんだこの豹変ぶりは。
いつもの大人びてクールよりも冷たすぎる姿はどうしたんだろう。
「あの、課長……なにか嬉しいことでもありました?」
「……。なんで?」
「いえ、いつものようにツーンとしてないので。ああそうか、熱が下がって気分がいいんですね」
「……はぁ」
疲れ切ったような盛大なため息が聞こえた。
「お疲れならどうぞ寝ていて下さい。……あ、眼鏡見っけ!」
枕の下に埋もれた眼鏡発見。手を伸ばして彼の眼鏡を掴むと、彼につけてみた。
「……なに?」
うおおおお!
眼鏡か!? 眼鏡が彼のキラキラを凍らせるのか!?
この眼鏡は、魔法の眼鏡なのか!?
瞬時に理知的な氷の彫刻が出来上がったことに驚き、このアイテムのどこに魔法があるのかひっくり返したり色々見た後に、ちょっと離してその眼鏡のレンズを眺めたら、あたしのピントにぴったりあう。
「課長これ……。あたし視力0.6なんですが、まさか課長もそんな程度?」
「はは、バレたか。それほんの少しだけ度が入っている。俺機械弄るから電磁波避けにと、向こうの大学の教授がプレゼントしてくれたんだ。それに女避けにもなるし、少しは大人「じゃあ裸眼の視力は悪くないってことですか?」」
課長の言葉に被せるようにしてあたしは言った。
視力がいいというのなら――。
「うん、あなたの顔の状況がわかるくらいは」
「――っ!!!!」
やっぱり!!
あたしは思わず遠ざかる。
「だから言ったじゃないか、可愛いって」
「真顔で言わないでください、あたし自身のことはあたしがよーくわかっていますから!」
ぷりぷりしてそう言うと、課長があたしの腕をとった。
「結城さんは、そう言わないの?」
「え?」
「なんで結城さん、友達で我慢してる? 俺なら、あなたを一度抱いてしまったら、友達なんかじゃいられない」
爽やかだったその目が、途端に男のものとなる。
ぎらついたような、攻撃的な目に。
「俺の女だと、周りに自慢する。他の男につけいられる隙など与えないほど、独占するのに」
射竦められたかのように、ぞくりとする。
こうなれば――。