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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
「過剰評価の凄いアメリカンジョークですね。あたしは身の程をわきまえてますので、喜んでくれる他の方にそれ言ってあげて下さい。それより課長、シャワー使わせて貰っていいですか?」
逃げるしかないでしょうが!!
あたしそういうのを笑ってかわせるほどの経験値ないんだよ。
会社じゃないんだから、営業モード続かないんだよ。
浴室に逃げ込んだあたしは、閉めたドアに背を凭れさせるようにして更衣スペースで座り込み、呟いた。
「冗談、キツすぎるって……」
顔から火がでそうに熱く、ドキドキが止まらなかった。
「はぁ……手強い、全く靡かねぇ。誰がこんな台詞、他の女に言うかよ。嬉しいことありましたかって、本気で聞くなよ。顔より俺を意識しろよ。……そうか、そこまで俺は眼中外か。そっちがその気なら」
そんな不穏な呟きが、ドアの向こう側から聞こえていることを知らずに。
……その数十秒後、シャワーを片手にした鏡の向こうにいるあたしの身体の異変に声を上げる。
「なにこれぇぇぇぇ!!」
あたしの首から胸にかけて咲き乱れる赤い華があったからだ。
……あたしの騒ぐ声に、にんまりと笑った課長が、リビングから給湯ボタンを押していたことに気づかずして、自分の身体よりもまず先に、あたしが昨晩濡れるにいいだけ濡れたショーツを密やかに手洗いしている時、突然背中からピーピー音が鳴った。
「なに、何の音!?」
慌てた時、浴室のドアががらりと開いた。
「ああ、湯が沸いた音だ。どうせだから、一緒に入ろうと思って」
課長が、下半身にタオルを巻いて、裸で普通に入ってきたのだった。