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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
どうでもいいじゃないか、そんなこと!
そう思えど、違うこと考えなきゃ、一緒に入っちゃうよ。
やだよ、あたしと課長そんな仲じゃないでしょう。課長の余裕ぶった冗談を真に受けてどうするの。絶対あとで笑い飛ばされそう。それをネタに脅迫されて、あれやこれやされるんだわ。
だって普通に考えて、こんなイケメンとマッパでお風呂どっきりなんて、ありえないから。なにかの間違いだから。
……いやまあ、寝てしまっている仲だけれど。気持ちよすぎて何度も何度もして貰った仲だけれど。
あたしは、熱がありながらもほぼひとりでトラブル抑えた、凄い上司の部下なだけなんだから。
ファインティング、HINA!
NO MORE セクハラ!
「はい。曇らない仕様ですからご心配なく」
左様ですか! 仕様ですか!
にこやかだったのに、眼鏡をかけたらやはり冷たい。
お湯に浸かっているだろうに、冷たい。
丁寧語が空々しく感じるのは、いつの間にやら彼の素の声に慣れたからなのか。急にそんな口調にされると、なんだか落ち着かない。
課長が態度を変えるくらいになにかしでかしたかしらと色々と記憶を巡らせれば、どれもこれもが思い当たり、赤面ものばかり。
いやまあだけど、上司と部下なんだから、これでいいよ。線を引かれたようなこの距離が一番あたし達に相応しいんだから。
……凄く寂しいけど。