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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 


「や、ちょ……」

 きめ細やかな泡は潤滑剤。

 大きな手が白い泡の中にあるあたしの肌に滑る。

 それはいつもにはないぬるりとした感触で、泡で彼の動きが見えないだけに、凄く敏感に感じてしまう。

 あたしの胸を中心に手のひらで押し潰すように自在に動く様は、まるで愛撫だ。

「課長、ねぇやぁぁっ」

「洗っているだけなのに、これだけで感じたんですか? ……いやらしいひとだ。こんなにいやらしいくせに、いつもすました顔で仕事をしている。本当に仕事のことを考えてたんですか、鹿沼主任?」


 課長の舌が耳を這う。

 鼓膜を震わす責め言葉に、思わず秘部が熱く濡れた。

 胸を触る手の動きはそこまでではないというのに、この甘く低い艶やかな声に、全身を愛撫されている気分になる。


「や……ぁん、やめてよっ、あたし、仕事が好……ぁぁ」

「こうやって、私に触られるのは?」

「……っ」

「キスは? ……仕事中でもあんなに蕩けた顔でキスを受けるのに、それでも仕事の方が好き? こういう風にされること、想像してないんですか?」

 コリコリと胸の尖りを捏ねられ、突然の刺激に飛び跳ねたあたしは、身を捩るようにして彼の胸に埋もれた。


「やめて……よ。あたし……淫乱、じゃないのよ」

「へぇ、九年前あんなによがっていたのに? 気持ちいいと泣きながらずっとイキッぱなしでしたよね? 中学生相手に」

 禁断の過去に触れられ、あたしは快感にも似た刺激に身体をびくつかせた。

「過ちにさせませんよ、私は。忘れたというのなら、私の身体を思い出させてあげます。あなたが泣いて喜んだことすべて再生させますよ」

「……っ、ごめん、九年前は本当にごめんってば! だから許して、もうこれだけでこんなに気持ちいいのに、それ以上されたらまたイッちゃう。熱出したひとにもずっとイカされていたのに、駄目駄目っ! キスだけでも意識ぶっ飛びそうなのに!」


「……なに可愛すぎることを。あなたは快感には素直なのに、どうしていじっぱりなんだ」

「素直とかいじっぱりとかの問題じゃなく、あたしの生存問題! 課長の経験値、あたしないから!」

「………。……ねぇ、鹿沼主任。私が丁寧語をやめてもあなたは丁寧語でしたけど、私が丁寧語になったら丁寧語やめて素のあなたに戻りましたね」

 そ、そういえば……。
 
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