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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 

「あなたは俺にドキドキするとか言ってたくせに、うちで全然そんな素振りを見せないのは、あなたがドキドキするのは会社での私なんじゃないですか?」

「い、いえそんなことない…ないで……ぁああん!!」


 胸の尖りをひっぱられ、返事が出来ない。

 だけど、完全否定出来ないかも。


「だけど今朝も全然、私に反応しなかった」


 拗ねたような声が聞こえる。

 なんなのよ、このひと。

 なんでこうやって可愛く拗ねるのよ。


「ドキドキしてましたってば! 課長が変なこと言うから! あたしそういうの全然慣れてないから、本気にとって自滅する前に防御策を……必死で大人対応をしただけですから。あたし大人なんです!!」

「慣れてないから、ドキドキすると?」

「そう、そうです」


 誘導尋問のような脅迫のような彼の質問に、頭が白くなり身体が熱くなってくる。


「俺にあなたの味を刻んだのは、あなただ。それなのに、俺にドキドキしたと?」

「そう、ですって。恥ずかしいから何度も言わせないで下さい! 大体課長は破壊力があるんですよ。なんですかその色気! 課長はその気なくても、その仕草にいちいち悶死しちゃいそうなんですから、頑張って営業モードでかわしている身にもなって下さいよ! あたしだって普通の女なんですから――……って、忘れて下さい。あたし喋りすぎました」

 途中で我に返ったあたしは、項垂れた。きっと耳まで真っ赤だろう。

 はぁっ。なにが嬉しくて、本人を前にドキドキしてるなんて暴露しちゃったんだろう。なんだか課長に言われると、どうしても意地になっちゃうんだ。


「こうやって男とお風呂入ったことは?」


 課長の手が、泡だらけのあたしの乳房を慈しむような動きに変わる。


「あるわけないじゃないですか!」

「……結城さんとは?」

 
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