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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 
「なんで結城が出てくるんですか。ありませんよ、こんな恋人みたいなこと!」

「……ふうん? じゃあ俺とこうしているのは、恋人みたいなことだとあなたはそう思っているわけだ」

「だって普通じゃない……んんっ」


 突然課長が前に身を乗り出すようにして、あたしの唇を奪ってきた。

 角度を変えて貪るようなキスをして、彼は昨日のような……熱を孕んだ濡れた目を向けてくる。


「では、俺にドキドキして下さい。狂いそうになるくらいに俺を感じて」

 
 熱い湯の中で、熱いキス。

 熱を出していた課長より、先にお湯に浸かっていた課長より、あたしの方が熱い。


 ぱしゃぱしゃ響く音はどこからなのだろう。


 ああ、なんでいつもこうなるの。

 言ったじゃない。あたし軽い女じゃないんだってば。

 すぐこういうことしないでよ。


「んぅぅ……」


 ……気持ちよさに負けてしまいそうになるの。

 身を任せていたくなるの。キスだけで濡れてしまう。

  
 あたしは課長を突き飛ばした。


「駄目だったら! あたし課長の玩具じゃ……」

「……それはもうわかった。求めさせるって言っただろう?」


 突如口調が変わり、あたしの身体が萎縮した。


――心を貰うから。それであなたから求めさせる。
 
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