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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 

「課長……、あたしのこと好きですか?」


 唇が離れた時にそう聞いたら、驚いたようなその瞳が柔らかく細められた。

「……さあね?」

 なんだかはぐかされたような心地がする。


「やっぱりあたしに素を見せていないじゃないですか。別にあたし、お手軽な女だと思われててもいいです」

「俺、そんな酷い男ではないつもりだけど」

「じゃあ、なんであたしとしたいんですか?」

「……二週間後に教えてあげる」

「二週間? なんで今すぐじゃないんですか?」

「なんでだろうね」

「課長も大概にいじっぱりですよね。ケチ!」

「あなたが俺に素敵な愛の告白をしてくれたら、今すぐ教えてあげる」

「カチョ、スキデス」

「片言は却下。本当にそういうことは営業モードにならないな、あなたは」


 苦笑する課長が、花弁を割って激しく動く。

 あたしのペースを崩して、課長の質量と堅さが与える獰猛な刺激に、思わず感嘆の声を上げるあたしは、課長に抱きつくしか出来なくて。


「あっ、ああああっ、なんで……っ、なんでこれだけでこんなにっ、やだっ、やだ、やらしいっ」

「じゃあ挿れる? 挿れていい?」


 乱れる課長の声が愛おしいと思った。


「駄目っ、あたしは簡単に許す女じゃない……っ」

「ったく強情なお姫様だ。こんなことをしてそんなに蕩けた顔をして、そこは曲げないのか」

「当然……ですっ」

「いつなら、いい? 教えてくれたら、今は我慢する」

「……っ」

「言わないなら……」

「二週間!! 二週間後ならいいです!!」

 衝動的に答えた二週間になんの意味はなく。

 挿入されそうになって慌てて出てきただけのものだ。

 ……そう、課長が言いかけたから。


「二週間だな?」

「いや、それは……」


 なんで百年とか千年とか言わなかったんだろう。


「あの、愛のない行為は……っ」

「それは大丈夫。俺ももう我慢の限界だから、それまでに――する。二週間後、覚えておけよ? ――やるから」
 
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