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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 


 二週間後――。

 出任せだった二週間後、あたしは彼に抱かれてもいいと思った。

 否、このひとに抱かれたいと。


 九年前のように満月の衝動的なものではなく、もっとゆっくり彼に抱かれたい。満月以外に男に抱かれようとする勇気を持ったあたしの心も、抱いて貰いたい。

 抱かれたら、単純なあたしはきっと彼を好きになり、またあの苦しい時間を過ごすことになるだろう。

 それでも、彼の熱と匂いをなかったことには、もう出来ないと思う。


 このひとなら、満月以外に抱かれたい――。


「どうした、ヒナ。痛い? 苦しい?」


 あたしより苦しそうな声で、優しい声をかけないでよ。

 今ここで堕ちそうになるから。


「大丈夫、気持ちいいっ」

「よかったっ、はあっはあっ、名前を呼んで、ヒナ」


 あたしにも女のプライドがあるの。

 だから二週間、あたしに猶予を下さい。


「んんんっ」


 その後は、あなたの玩具にでもなってあげるから。


「二週間後……、最後まで抱いて。――朱羽」


 宣言すると、驚いた様子の彼が、泣きそうに顔を歪めて……笑った気がした。絆される、だけど……。


「だから覚悟がない今は、いじっぱりでごめん……っ」


 彼の唇があたしの額に押しつけられた。


「……二週間後、俺も素直になるから、あなたも素直になって? だから今は、お互いいじっぱりなままで、……イクぞ。陽菜」


 こんな場所で、こんな形で……、


「朱……羽。あああっ」

「もっと、陽菜。俺の名前を呼べ」

「朱、羽……っ、ああ…イク……朱羽、イッちゃう」


 だけどまるで恋人同士のように名前を呼び合い、限られた形で身体を重ねて絡ませる。


「陽菜、陽菜……っ」


 上擦った声であたしの名前を呼ぶ。

 彼は眼鏡をぶつけながら、舌をあたしの口の奥まで暴れさせた。あたしの胎内で暴れているように。

 尚一層濡れるあたしを擦る彼は、ぶわりと膨張して激しく脈打ちながら、やがてあたしの秘部を覆うように陰茎をあてがって、ぶるぶると小刻みに動きながら膣穴を掠めると、口づけをしたままのあたしの身体が果てに達して、強ばった。

 大きくびくんびくんと震えるあたしの秘部から抜かれた彼の熱さ。

 その滾る迸りをあたしの尻に感じ、あたしはなんだか嬉しくて微笑んだ。


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