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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
「どうした? なかったことにする気か?」
目がギンと険しく細められた。
「いえ、そうではなくて……。あたし言ったことは責任持ちますけれど、そんなことをほいほいと約束するような軽い女じゃなかったのに。それに課長に求められるほどの女でもないのに。こんなしみったれた女」
「だったらそんなしみったれた女に、全力で口説き落とそうとして頑張ってる俺は?」
「全力で来てるんですか!? あんな小っ恥ずかしいことをして、言ってるのは!」
「片手間でする男に見えるか、俺! 小っ恥ずかしいって言うなよ、あなたが堅すぎるからだろう!? こっちがどんなに苦労して必死に切り崩……ああくそっ、そんなまじまじ見るな! 熱が出る!」
おお、見る見る間に課長が茹でダコだ。
「いや……。年増なこんなのをそこまで全力で口説かなくても。もっと、指を振れば来てくれる、可愛くて身体のいい女の子は沢山いるのに」
「まだ本気でそれ、言ってるのか!? 俺、そこまでわかりにくいか!?」
本気だけれど、なんだか課長が怖いから笑って誤魔化した。
怖っ!!
なんであたしがいいんだろう。
彼があたし限定で欲情している理由が見ているだけでは掴めない。
あたしを好きだというのなら、聞いたときに答えればいいのに、二週間後がどうのと誤魔化すのなら、やはりそういう恋愛感情はないようにも思える。だけどあたしの身体が目当てだとしても、あたしの身体がそこまでいいようには思えない。絶対思えない。
「やっぱりあたしひとりがドキドキさせられて、振り回されている気がする。なんだか二週間後に大きな落とし穴が待ち受けているような……」
「はあ!? あなたに散々振り回されてるじゃないか、俺」
あたしは目をぱちくりした。
「ああ、童貞奪っちゃいましたものね」
「哀れんだ目を寄越すな! そういう意味ではなく、俺……我慢して二週間後まで待ってるじゃないか。こんな蛇の生殺し……いや独り言、ここまで妥協してるんだ。だからあなたも、罠とかそんな不安を捨てて二週間後まで、必死で大人対応でかわせよ」
「かわす?」
「結城さん」