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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
見ぬふりをしてきたけれど、もう潮時だ。
結城が満月の時以外にも恋愛関係を求めるのなら、満月の関係はクリアにしないといけない。そう当初の約束通りに。
結城がなにを望んでどうしたいのか、あたしはきちんと向き合う必要があると思ったのだ。知らないふりをして、あたし都合で満月に必要ないからとは到底言えない。
課長には悪いけれど、お役御免と簡単に切り捨てられるような存在ではないのだ、結城は。セックス以外にも、結城には助けられているのだ。
課長に抱かれるつもりなら、結城にも抱かれるというような関係は確かによくないことは十分にわかる。たとえ満月という理由があろうとも、二股のようなものだ。
だけどだからといって、課長に満月のことを話して容認して貰うまでの覚悟は、まだ出来ていない。課長には隠したいのだ、あたしの崩れた化粧を隠したいように。
八年だ。
八年の結城との付き合いは、九年前に会っただけの課長との付き合いとは重みが違う。八年、結城はあたしを嫌わないで助けてくれた。
その結城から付き合おうと言われたのを、それは結城のためにならないという理由付けのあたし都合で、結城は特別だけど恋人ではない友達にして拒んできた。
それに結城が不服というのなら。こんなに傷ついた声で独占欲を露わにするのなら、結城とちゃんと本音で向き合うのが、八年も結城を縛り続けてきたことに対する誠意だと思う。それは電話やメールでするものではないとあたしは思うのだ。