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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 


 そう思いながらも、私が連れて行って貰いたい、一緒に遊んでみたいと思っていたレジャー施設を推薦してみる。

 "温泉プールがあるよ! 女には嬉しいエステがある!"

 "よし! それにする"

 ……結城は乗った。

 よしよし。


 "陽菜の水着姿、すっごい可愛いから"

 夏に陽菜とだけ海に行って、結城がぶーたれていた……あの陽菜のビキニ姿を思い出しながら、そう付け加えると結城から、ホラーのようなスタンプと共にひと言。

 "なんで鹿沼だとわかった!?"

 "そんなんで営業課長だと威張るな!"

 怒り心頭のクマのスタンプを送りつけてから、私も最後にひと言。


 "ハプニング、期待してます。じゃあね"


 LINEを終了させ、あたしはスマホの通話履歴からひとつの履歴のボタンを押す。


 ねぇ――。

 ふたりで行けないのなら、大勢ならいいんじゃない?


 私は、休日の昼間も会いたいんです。

 結城みたいに、他の男に奪われるかを心配して貰いたいんです。

 
 死んだ奥様を忘れてとも、私と結婚してとも言わないから。

 最近、距離を置こうとしているのわかっているんです。お願いだから年の差なんて悲しいせいにしないで。

 あなたを想い続けて、私も八年なんです。


 二人きりで会い辛いのならせめて、仲間内だけでも……。

 ねぇ、私の同期とあなたは仲がいいんだから、遊んで下さい。

 昔のように。


 恋人と言えない関係を、話すつもりはないですから。

 だからせめて、部下として構って下さい。


「もしもし、雅さん?」


 ねぇ、社長――。



 
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