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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
「陽菜。変なこと考えないでね。私は陽菜と滑る」
さすがは営業課のホープ。あたしの考えなどお見通しか。
「お、次だぞ。むっちゃん、行くぞ」
先に歩いた社長の背中にぶつかるようにして足を進めたのは――。
「ちょっ、結城なにすんのよ!!」
結城に腕を取られてほっぽられた衣里だった。
そして結城はあたしを後ろから抱きしめて言う。
「俺はこいつとがいいの! なにが嬉しくて野郎ふたりで滑らなきゃなんねーんだよ。ほら、係員が困ってるぞ。さっさと行け!」
「結城、見てなさいよ!!」
衣里が係員に聞かれている。
「こちらの方と滑られるんですよね?」
「わ、私は……」
「ほら、真下早く来い。迷惑になるから」
「……あ、あの、わ、私でもいいんですか?」
「勿論」
「……っ、じゃあよろしくお願いします」
社長の身体に後ろから抱きついた衣里の顔はちょっと赤くなっていて、まるで乙女のように可愛かった。
凄く幸せそう……。
「あいつジジ専だったとはな」
「衣里と社長が結婚したら、衣里は結城のお母さんになるのかな」
「冗談じゃねぇ!!」
もしものことを言い合いながら、次はあたし達の番。
結城の方が身体が大きいため、結城はあたしの後ろに座ることになる。
「はい、前の方に抱きつくようにして下さい」
すると両脇から伸びた結城の大きな手が、あたしのお腹あたりに巻き付いて、あたしの背中は結城の熱い肌を感じ取った。
結城の匂いが鼻腔を擽る。
そう、イランイランではない、別の男の匂い――。
「はい、OKです!」
係員があたし達のタイヤを前に手で押すと、緩やかに水の上をあたし達を乗せたタイヤが動いていく。ゆっくり、ゆっくりと。
「お前さ、香月と寝てないんだよな?」
「な、なによいきなり!」
「香月熱出していたんだよな、それでヤレるはずはねぇとは思うんだけど、お前さ……、胸にキスマークつけられていただろ」
「!!!!!」