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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
ボードでその酷い写真を探してみた。
本当にあたしより酷く写真に映った可哀想な女の子がいるものなのか。
四人で探して満場一致。
「これだな」
「これだね」
「これだ」
「これよね」
幽霊というより、白目を剥いたゾンビにしか思えない、髪の長い女性の後ろで、黒髪眼鏡の若くて格好いい男性がカメラ目線でピースしてる。
この顔……。
「「「「香月課長……?」」」」
いや、まさかね。だって右下の日付、今年のものだし。
どう考えても若すぎでしょう。
それによく見れば、そっくりというわけではないような気もする。黒髪眼鏡が似たように思えるのか?
「なんだぁ? ボードに貼り付いている奇妙な集団がいると思ったら……あれ、こいつ……なんだ女いるじゃん。こんなゾンビに童貞やるとは、あいつ末恐ろしいな」
聞いたことがある声に上を見遣れば――、
「おお~、渉!」
先に反応した社長が、宮坂専務に声をかけた。
「お久しぶりです、月代社長。まだまだ若いっすね~」
パチパチと社長の腹筋を手で叩く宮坂専務。
「お前もな。還暦過ぎたんだっけ?」
社長も専務の割れた腹筋を手で叩いている。
これがこのふたりの挨拶なんだろうか。
「俺、社長より若いんですよ!? 俺の新人指導したの社長じゃないですか!」
確か社長は忍月コーポレーション時代、上司だったんだっけ。
うっはぁ、専務いい身体してるなぁ、おい!
ワイルドだね~、こりゃあ身体から入る女もいるでしょうね。
そんな視線に気づいたのか、専務があたしに斜め上からの流し目を寄越した。裸でこの目線はないでしょうが。