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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
「おおっと、吾川(あがわ)! そのへんにしろよ、人の目があるんだから! 一応こんな男でも一流企業の専務だ。こいつのせいで会社の株価が下がったら、僕が困る! 無理矢理買わせられた身になれ」
「あれ~、月代部長!? なんでここに!?」
「僕は社長だ! ここに来たのは偶然、渉に絡まれてさ~」
「あ、今はシークレットムーンの社長でしたよね、失礼しました。部長の方が呼びやすくて、つい。……もうこの女にドSになるこの男を、部長から叱って下さいよ!」
「だから部長じゃないって。渉、吾川にはドMになるじゃないか。吾川相手じゃなかったら、こんな格好で呆然としたままじゃないぞ。ぶちギレだぞ? 公開レイプだぞ? こんな野獣みたいの、よぉく懐柔したなあ」
「ふふふ、愛の調教です」
黙っていたら、どこまでも続く社長と女性の会話。
女性は社長が忍月コーポレーションに居た時、部下だったのだろう。専務もまた。
可愛らしいお人形みたいな顔立ちと、オリーブ色のショートカット。
一応ビキニではあるけれど、巨乳というよりはあたしよりないと思う……膨らみがちょっと足りない胸。
肌も艶やかで高校生のようにも思える若い姿態だが、彼女はOL出来る年齢なのだ。もしかするとあたしと同じぐらいの年齢なのかもしれない。
あどけなさ残る顔なのに、彼女の目は大人顔負けの鋭いもので、口から出るのは毒だとは。
彼女は会話を終えても専務をほったらかしにしたまま、衣里の元に赴き、衣里の手を握って頭を下げた。
「渉がごめんね、気分悪くしたでしょう? 私が後で叱っておくし、もうこんなことは冗談でも言わせないようにするから。だから気分直してね」
すると固まったままだった衣里は笑い出した。
「ここまでして下さるとは! すっきり以上に気分爽快です。私がするより、見事すぎる派手な反撃でした。ありがとうございます!」
ぽたぽたぽた……。
専務はコーラを垂らしながら、まだ動かない。かなりショックなのか、泣きそうな表情をしているようにも見える。
ショックなのは、コーラをかけられたからか。それともこの女性に口を利かないと言われたからか。
なにか言いたげだが、彼女は専務を完全無視だ。
……専務、なんだか可愛いです。