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いじっぱりなシークレットムーン
第2章 Nostalgic Moon
精神の病だと本気で思った。
月1回限定、セックス依存症のような。
あたしはセックスがいいものだと思ったことがない。彼氏とのそれは、ただの愛情確認だけであり、いつもただ行為が終わることだけを願うくらいだったのに。
地元ではばれるから、一日学校を休んで隣町の大きな病院で心療内科の診察を受けたが、担当した御堂医師はあたしの症状を聞いてすぐこう言った。
――いつも見ている月は、満月なんですね?
偶然にも、御堂医師は人間と満月との関係を調べているらしく、あたしの原因が満月のせいではないかと言った。
"満月症候群(シンドローム)"
彼は月に影響を受ける人々を罹患者としてそう名付け、あたしは発作が出ているだけだと。
そしてこうも言った。
――月は、人間の心理が深く関係している。世界にある古来の占いにおいても、「月」というものはそうした心理面を象徴するんです。
占いと心理学は結びつくらしい。占いが当たるのは、相手の心理面を見ようとするからだと。そして占い師のアドバイスという、深層心理に響く言葉に影響され、人はその通りに動いて「占いが当たった」と喜ぶ、らしい。
だから当たると評判の占い師は、未来を読むというより、占いで相手の心理を探りながら、相手と話すことによって悩みの解決策を具体的に提示する、心理カウンセラーと似た職業だと、彼は笑った。
――満月と男。突然発症したのなら、なにか心理的要因があるはずです。
だけどあたしには思い当たるふしがなかった。
――身体に変調などは?
満月になる前に、疝痛みたいな頭痛があるくらいだ。
――それが怪しいです。なにかフラッシュバック的に見える映像はないですか?
それはなかったが、発作が起きる時に人の声のようなものが聞こえると言うと、それと関係があるかもしれないと言われたが、いまだ特にあの頃と変わったことはない。