この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 

「さあな。川獺(カワウソ)と河童は、沼というより川に住む仲間みたいだから、お前挨拶されるかもしれないぞ?」

「いらないわよ、挨拶なんて。河童と知り合いになりたくないから! あたしカワウソじゃないってば!」

 ギャーギャー言うあたしを結城は笑いながら、岩め高めのところに押し上げた。

「落ち着いた?」

 結城の方が低い位置にいて、飛び出た岩に腕を置き身を乗り出すようにしてあたしを見上げている。

「……うん」

 結城の優しげな顔に、河童の話は、結城流の落ち着かせ方だとわかった。

「これからは笑い飛ばしては貰いたくねぇけど、だけどそんなに緊張もするな。俺はお前を怖がらせたくねぇんだ。満月のセックスだけで恋愛したくないと八年ブレずにいたお前に、最初にした満月に関する約束取り消させるようにして切り込むけど、俺は俺だ。八年、お前の傍に居た俺だから、安心して」

「うん」

 あたしはこくりと頷いた。ちょっと顔が強ばってるのを見て、結城はくすりと笑ってあたしの手を取ると、ぎゅっと握った。

 ……結城の手が震えていた。

 驚くあたしから手を離し、結城は柔らかく笑う。

「な? 河童ほど、怖くねぇだろ?」

 言葉と彼の手は裏腹だ。多分それは、結城と向き合うと決めたのに怖くも思うあたしと同じで。

「後ろ見てみな」

「え、河童だったら嫌だよ!?」

「河童なんているわけねぇだろう。いいから後ろ」

「えー」

 ドキドキしながら後ろを振り返ると、

「すっごぉぉぉぉい!!」


 一面の窓。

 そこには海が広がっていて、今丁度太陽が西に傾いて、茜色の夕陽となったところだった。

 海に沈むような夕陽を反射した海が、赤く染まりゆく。

 それは圧巻な光景で、思わず涙が出るくらいだ。

 
「苦労して聞き出した甲斐あったよな。穴場なんだって」


 それは更衣室から出た時、結城を取り囲んだ女達から聞いたのだろう。

 広大な自然のパノラマ。

 薄闇に移りゆく茜色が目に鮮やかで、だけど生彩が失われていくのがなにか物寂しくて、見つめていたのは数分なのか数時間なのか。

 何回か水のうねるような音が聞こえた気がする。


「陽菜、こっち見て」


 結城が堅い声を出して、あたしは振り向く。
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ