この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 

 結城がここまで想っていてくれたことに、泣きそうだ。

 すぐにYESと言えない自分が、どうしても課長がちらつく自分が、嫌でたまらない。なんで結城に染まらないんだろう。こんなに好きで大切なのに。

 どうして心にブレーキがかかるんだろう。

 どうして……。


――また来てよ。あなたの手料理、食べたいんだ。


 どうして課長の声と笑顔が思い浮かぶんだろう。

 どうしてあたしを悩ませるのが結城ではないのだろう――。


 結城は大切だ。恋愛としても大切に思えると言えないのが辛い。

 ここまで言ってくれたのに、なにも返せないのが苦しい――。


「こら、顔を背けるな。おい、なに泣いてるんだよ」


 結城が上がってきて隣に座り、あたしの目から落ちた涙を指で掬う。


「俺一生懸命告っているのに、涙を武器するなんて卑怯だぞ」

「……ね」

「ん?」

「ごめんね」

「それはどういう?」

「結城を利用していてごめん。友達と思っていてごめん。結城の優しさに甘えすぎていた。……だからこそ」

 結城がたてたひとさし指をあたしの唇に押しつけた。

「……もっと考えろって。YES・NOをすぐ出そうとするのお前の悪い癖。もっと時間かけてゆっくり真剣に考えろ。お前はどうしたいのか」

「でも」

「俺はここからがスタートなの。ゴールじゃねぇよ、そのために告ったんじゃねぇし。俺はこれからお前に恋愛対象として欲しいの、わかった?」

「……ん」

「もう一度」

「……わかった。大切な友達にプラスαを考える」

「友達の方がプラスαだろうが!」

「あ、ごめん!」

 結城がぶちぶち言い始めた。

「俺が住んでるところはお前のところに負けず劣らずのボロアパートだし」

「悪かったわね」

「俺が持っている車はフェラーリじゃねぇけど」

「別にあたしフェラーリ好きなわけじゃないから!」

「俺インテリじゃねぇし筋肉馬鹿に近いし、あいつも来た時から課長だし、あいつの経歴に勝るものはないけど」

「あ、社長の息子っていうのは勝ってるかも」

「それは俺の努力じゃねぇだろうが! それはなし、忘れろ!」

「あはははは」

「俺、王子様タイプじゃねぇし」

「あ、どちらかと言えば従者タイプ?」

「お前な! ……くっそ、言い返せねぇ」
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ