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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon

そんな時下のざわめきがさらに大きくなり、ひとの波が左右に割れた。
向こうから、豆粒みたいな誰かが闊歩してくる。どうやらそれを恐れて道が作られたようだ。なんだかここからでも、姿はわからないのに異様なオーラを感じて、ゾクゾクする。
「ちっ!」
先に気づいたのは結城だった。
「誰だ、ここに居るというのを教えたのは!!」
「え?」
「陽菜、ばっくれるぞ。俺が"健全"のルール違反したから殺される! なんですぐわかるんだよ!! つーか、なんで俺、あいつに遠慮しなければなんねぇんだ!?」
「健全!? あいつ!?」
結城は岩から降り、あたしを両腕で下ろした。
「誰、一体だれなのよ!? あたし知ってるひと!?」
「うわ、早っ! なんでここにいるってわかるんだよ!? お前キスマークの下にGPSでも仕込まれたか!?」
「はあああ!?」
なんだかわからず逃げるあたしの前に現れたのは――
「こんばんは」
なにやらコメカミに酷く青筋が浮き出ているような……香月課長だった。

