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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon

「警視総監と知り合いなのか?」
「知り合いというか……ただパーティで総監に挨拶したくらいで、向こうが私を覚えていれば儲けもの、程度です。ですけど、後日パーティー主催者の秘書の方が写真を送って下さったので、なにかの時のためにそれを写メしておいたので、それを見せました」
さらりと。実にさらさらさらと、課長派そんなことをのたまう。
なにかの時ってなにがあるんだよ、とか思いながらも、あたし達も見せて貰った、スマホで撮られたその写真は。
ホテルかなにかの広間で、両端に爽やかに笑う課長とでっぷりと太ってハゲたおっさんとが一般的なスーツ姿で、真ん中に気むずかしそうな顔をしたひょろっとしたおっさんは、警察のものと思われる帽子を頭に乗せ肩章や飾り緒がついた制服を着ており、三人真ん中で手を伸ばして握手をしているカメラ目線のものだ。
イケメン過ぎる課長が目立つ目立つ。
警視総監は痩せた方だとして、このデブハゲ――。
「これまさか、財界の裏ボスと言われている通称鷹栖大老!?」
毎朝、新聞を読むあたしとしては、慈善事業を称えられているにこやかな写真を見る度に、顔からして胡散臭く思う。
そう、胡散臭い男までもが課長と握手している写真だったのだ。
「はい、その大老です。大老のパーティーだったので」
またなんでもないように、表情を変えずにさらさらさら……。
パーチーねぇ……。
挨拶した程度、ねぇ……。
秘書が送りつけた写真ねぇ……。
何でそんなところに――
行 け る ん で す か!?
「どれが功を奏したのかわからないけれど、警官はすぐにパトカーに乗せて、サイレン鳴らして爆走してくれました。大ごとにしたくないから、あなた達で助けてくれと応援はやめさせて、高速フルスピード&ノンストップで来ました。これが別の車なら免停です。ただ"いろは坂は、あまりにもたもたするから、そこは私が運転しましたが」
「しましたって、いいんですか?」
「いいか悪いかだったら駄目でしょうね。だけど、子供になにかあったらあなた達の首も覚悟してと言ったら、快く運転代わってくれましたけど。ひさびさにドリフトの連続で坂道駆けました」

