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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 

 表情を変えない課長に、結城が引き攣った顔で言った。

「いやまあドリフトであの坂を抜けれるのなら、フェラーリ持っててもいい……なんて問題じゃねぇよ。パトカーでドリフトするって、俺だってしたことねぇのに。なんだよ、その度胸。大体警官を扇動したメール、嘘だとばれたらどうするんだよ」

「そのメールのヒナ、私の娘とするものかどうかは読み手の想像。まあそう思える文章にしたんですが。私は娘と勘違いしたと、切り抜けます」

「でもですね、課長。この差出人メルアド、わかりにくいアドレスから送ったとしても、調べられたら課長保有のものとわかられるのでは?」

「誰がそんな足の着くことすると思います? これは別のプロバイダからの別の人間のアドレスで、形跡を残すヘマなどしませんから」

「なんかしたのか?」

「私は出先だったから、私の従弟に頼みました。ここの施設の電気系統ならすぐハッキング出来ると言うんで、まずは監視カメラの映像をタクシーで見ながら、あなた達がどこにいるのか見当つけてました。迷子のお知らせをした女性、泣きそうな声だから彼が圧加えて探させてたんでしょう。なんで迷子センターにアクセスしたかは、理解し兼ねますが。だけどまあ、なにかあれば隠蔽にいろんなところにハッキングして変えればいいだけですから、問題ない」

 問題あるでしょ!!

 怖っ!!


 課長も従弟さんも怖っ!!

 慣れてる感じが余計怖っ!!


「あなた達はここに居て下さい。私は渉さんを助けないと」

「え、専務どうしちゃってるんですか?」

「はい、私のヒナの誘拐容疑で、身柄拘束されているので」


「「はああああ!?」」


「犯人の心当たりを聞かれたので、渉さんの特徴を」

「なんで専務を!?」

「ああ、ほぼ裸の格好で私より先にあなたを見ていたと思ったら、イラッとしてしまいまして。ちょっとロリコン癖があると言っておきました」

「それは怒られるんじゃ……」

「どうせ、ただの野次馬根性でしょうから。ま、ちゃんとフォローはしますので。別にこういうことするの、初めてじゃないですし」

「怖ぇぇ……」

 結城の声にあたしも頷く。

 専務、それでも課長を可愛がっているのなら、かなりのドM。
 
 沙紀さんが28だと騒いでいたのは、彼女もまたロリコンの餌食になったと思われたのかしら。

 うわ……。
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