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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
 

「運転手は酒飲めねぇのに、ひとりでがぶがぶ。あ、お前もいいぞ、寝てて。ちょっと家まで時間かかるから。葛西入ったら起こすから」

 うふふふふ~、作戦会議しなきゃ。

「いえ、私は大丈夫です。運転代わりましょうか? 私もウーロン茶ばかり飲んでいたので、酒は身体に入ってませんので」

 作戦会議……会議……――。


「いらねぇよ。俺そこまでヤワじゃねぇから」

「……だったら必要な時言って下さい」

「OK」

「……」

「……」

「……」

「……言葉が出ないほど俺が嫌いか!? なんか喋れよ、ひとがいるのに寂しいじゃねぇかよ!」

「い、いえそうじゃなくて、いい車だなと。男らしくて」

「いやいや、フェラーリには敵わねぇから!」

「名前だけですよ、あんなの」

「ははっ、フェラーリ好きの男達に刺されるぞ~」

「結城さんは乗りたいと思わないんですか、フェラーリ」

「んー? 俺は実用的な車がいい。山とか海とか好きだから、そういうところにフェラーリは無理だろ。場所を選ぶ車は、俺向きじゃねぇな」

「……」

「……」

「……今度の沈黙はなんだ」

「……。一緒に、行ってるんだなと。山とか海とか」

「ああ、鹿沼? こいつは体力ねぇから真下の方がはしゃいでるけど」

「……真下さんもですか。いいんですか?」

「俺、真下友達として好きなんだわ。口悪くてストレートに切り込んでくるけど、嘘は言わねぇし駄目なら駄目だとはっきり言ってくれるから。顔色うかがうような男よりよっぽど信頼できる。営業力もあるしな」

「……嘘だらけで本音を隠されている気がしますけど」

「ああ、営業用ならそうだろうな。あいつにコロリと参る男が結構いるから。素のあいつはめちゃくちゃ毒舌だぞ、俺なんてもう泣きたくなるくらいボロクソに言われてるから」

「……結城さんにそんなこというひといるんだ?」

「いるだろうよ、俺は神様じゃねぇし。お前だって嫌う奴いないんじゃねぇか? なんでもよく出来るイケメンの課長さんだし」

「はっ。冗談やめて下さい」
 
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