この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
「運転手は酒飲めねぇのに、ひとりでがぶがぶ。あ、お前もいいぞ、寝てて。ちょっと家まで時間かかるから。葛西入ったら起こすから」
うふふふふ~、作戦会議しなきゃ。
「いえ、私は大丈夫です。運転代わりましょうか? 私もウーロン茶ばかり飲んでいたので、酒は身体に入ってませんので」
作戦会議……会議……――。
「いらねぇよ。俺そこまでヤワじゃねぇから」
「……だったら必要な時言って下さい」
「OK」
「……」
「……」
「……」
「……言葉が出ないほど俺が嫌いか!? なんか喋れよ、ひとがいるのに寂しいじゃねぇかよ!」
「い、いえそうじゃなくて、いい車だなと。男らしくて」
「いやいや、フェラーリには敵わねぇから!」
「名前だけですよ、あんなの」
「ははっ、フェラーリ好きの男達に刺されるぞ~」
「結城さんは乗りたいと思わないんですか、フェラーリ」
「んー? 俺は実用的な車がいい。山とか海とか好きだから、そういうところにフェラーリは無理だろ。場所を選ぶ車は、俺向きじゃねぇな」
「……」
「……」
「……今度の沈黙はなんだ」
「……。一緒に、行ってるんだなと。山とか海とか」
「ああ、鹿沼? こいつは体力ねぇから真下の方がはしゃいでるけど」
「……真下さんもですか。いいんですか?」
「俺、真下友達として好きなんだわ。口悪くてストレートに切り込んでくるけど、嘘は言わねぇし駄目なら駄目だとはっきり言ってくれるから。顔色うかがうような男よりよっぽど信頼できる。営業力もあるしな」
「……嘘だらけで本音を隠されている気がしますけど」
「ああ、営業用ならそうだろうな。あいつにコロリと参る男が結構いるから。素のあいつはめちゃくちゃ毒舌だぞ、俺なんてもう泣きたくなるくらいボロクソに言われてるから」
「……結城さんにそんなこというひといるんだ?」
「いるだろうよ、俺は神様じゃねぇし。お前だって嫌う奴いないんじゃねぇか? なんでもよく出来るイケメンの課長さんだし」
「はっ。冗談やめて下さい」