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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
あなたの熱を直に感じたくなる――。
今は……そんな場合じゃないというのに。
丸々とした月が痩せ細るように、消え去る煌々とした熱が恋しいんだ。
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『嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな』
百人一首 八十六番 西行法師
現代意訳:
嘆き悲しめと月はわたしに物思いをさせるのだろうか。 いや、そうではあるまい。本当は恋の悩みの所為なのに、まるで月の仕業であるかのようにわたしの涙が流れるのだ。