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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
「落ち着……っ」
「もっと……考えろっ、もっともっともっと! 俺を中に……っ」
ああ、また舌が入ってきちゃった。
駄目だってば。
あたしだって女なんだって!!
この課長の匂いとこんなキス受けたら――。
「か、ちょ……ごめっ」
「だめ……んん、ゆるさっ……」
自然と拳になったあたしの手が、課長の脇腹にクリーンヒット。
これでも綺麗なお顔を避けたのよ。
「ごめんなさい、冗談です」
腹に手を置き課長は沈みこむ。
「あの、大丈夫ですか? 結構力入れちゃったかも……」
「大丈夫じゃないって言ったら、なにかしてくれるのか」
「あ、絆創膏持ってますけど……」
「……。冗談なんだな」
「は?」
「まだ二週間後、生きているんだな!? 昨日の今日で結城さんを選んで、付き合うつもりじゃないだな!?」
涙で潤んだ目で激しく睨み付けられ、あたしはこの手の意地悪はもうしないことを心に決めた。
怖いよ~。
「は、はい。今のは冗談で……」
「よかった……。焦った……」
その笑みに絆されそうになる。
まるで氷が融解されたような、そんなふわりとした笑顔にあたしはぐっともっていかれそうになり横を向いた。
なんなのよ、このひと~!!
「だからあたしそんな簡単な女じゃないんですってば。だけど今のは本当についついの出来心でした。ごめんなさい」
「……」
「ごめんなさいっ!!」
「……」
「あの……」
課長は顔を手で覆っていた。
「いや、今見ないでね」
「は?」
「凄く顔ゆるゆるだから」
「え?」
「本当に察しが悪いな!! 嬉しかったんだよ、結城さんにとられてないと思ったら!!」
「そ、そうですか」
……やばい。あたしまで顔が赤くなる。
二週間後は、ブルームーンだ。
一ヶ月に二度目の満月がくる。
……怖いよ、その時あたしは誰といるのか。
それが結城ならあたしは課長を失い、そして一緒に居るのが課長なら、あたしはきっと……両方を失うだろう。
ずるいあたしはこう言ってしまうんだ。
「二週間後、土曜日じゃ駄目ですか」