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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
「向島が動いて万が一会社が倒れそうになっても?」
「……あたしは社長の作ったムーンを守りたいんです。それは宮坂専務に言われたからではなく、あたしが! 倒れさせません」
「倒れなくても、会社はかなり揺らぐと思います。渉さんに言えば、その危機の前に忍月コーポレーションへの転職も可能かもしれない」
シークレットムーンを見捨てて、安全な高台へ行けと?
それなら――。
「課長。万が一のためにお願いしておいて頂いてもいいですか?」
「移りますか?」
「あたしではなく、最後まで頑張ってくれようとしたうちの社員です。結城や衣里を含めて。あたしはシークレットムーンと共に居ます。あたしを育ててくれた社長も会社も見捨てません」
シークレットムーンが好きなのはあたしの考えだ。
だから全員にそれを押しつけることは出来ない。皆は皆の人生があるのだから。万が一には、戦ってくれた彼らを笑顔で送り出せたらと思う。
「はは」
「なにか?」
「いえ。変わってないなあと。あなたは絶対に、絶望の淵からもがく者達を救おうとするから。……そんな強い目で」
「はい?」
「私も守ります」
課長は言った。
「あなたと共に。……どんなことがあっても」