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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
「そうとも限りません。鹿沼主任のパソコンの中のものを持ち出すとしたら、DVDドライブか、USB接続出来る外部機器しかないが、使われた形式はない」
「なんでそれわかるんですか?」
「私が作った"BB-fall"は、外部感染をも見ているセキュリティープログラムだったからです。今朝念のため金曜日の最新Backupからも見てみましたけれど、あなたのパソコンに外部が接続した形跡もなければ、メールなどが使われている形跡もなかった」
このひと、朝早くから来ていると思ったら、そんなことを調べていたの!?
「つまりあなたのパソコンからではない。念のために外部接続している社員を調べたら、木島くんが該当したけれど、それは結城さん……」
「ああ、さっき聞いたら、まるで関係ないことだった。木島の容疑は三上が断言してくれるだろう」
「三上って、杏奈?」
「ああ。三上、木島を鍛えていたらしいぞ、先週」
「き、鍛えてたって……服が連続同じだったことと同じ意味?」
「ああ。まあなにをしていたのかは俺が言うべきことじゃねぇな。だが間違いなくあいつらはスパイじゃねぇよ」
結城が言うならそうなのだろう。
内心ほっとした。
「外部機器ではないとしたら。相手に送りたいものがデータ化していなかったら、それをすぐに先方に送るにはどうすればいいか」
資料室の資料は、スキャナでデータ化出来ていない。
だとすれば、送れる可能性としたらただひとつ――。
「FAX?」
「はい。それはそこのコピー機との複合FAXから取り出した送信記録です。ここは今まで確認なさったことは?」
「いいえ。パソコンでFAXしているから……」
この会社はWebサーバーに、プログラム開発部の作ったwebでFAX回線を選択してFAXを送信出来る『Webfax』のソフトをインストールして、共有機能の追加で全パソコンがWebからFAXが出来るようになっている。
ただそれは原稿がデジタル化していないと駄目だ。
相手にデジタル化していない、紙ペースの資料をFAXで送ろうとするとして、いつもコピー機にいたのは誰だろう。
あれは――。