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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
 

「香月が作ったソフトもちゃんと作動していたらしいが、今回は圧縮かかったランサムが解凍した状態の「.dll(共用)ファイル」が既にクラウドにあって、それを遠隔的に実行しために、ランサムの動きになったらしい。dllはソフト動かすために必要なファイルだから、ウイルス用の特別なデータの拡張子ではなかったことが、敗因かもと言ってたぞ。簡単に言えば、盲点突いたんだよ」

「遠隔的にって出来るの、そんなこと!?」

「出来るらしいな、出来たんだから。今あのサーバーで作業している企業は、ファイル凍結状態だ。WEBを置いてあるからWEBも見れない、WEBを見に来た通りすがりも被害にあっている。……その苦情の電話だ」

 向島はそういう専門家を雇っているのだろうか。

 あまりに手腕が玄人すぎる。千絵ちゃんか誰かが課長が作ったソフトを相手に渡して、どこかに穴がないのか探して作ったもののようだ。

 普通ウイルスとか悪質なプログラムは、何度も手間をかけさせない。足がついてしまうからだ。

 でもこれは――。

「どうする気なの!? ランサムウェアって、何十桁もの鍵(=パスワード)がなければ解除出来ないから、皆お金支払うんでしょう!?」

「ああ。さらには振り込んで元に戻らなかったら、うちの責任にもなる」

「そんな……、金曜危機を脱したはずだったのに」

「しかもプログラム開発部は、示し合わせたように辞めて三上しかいないらしい」

 それだったのか、杏奈が戻ってきたあたしに訴えようとしていたのは。


「こうなりゃ、あのふたりにかかっている。まずはランサム抑えなきゃ話になんねぇぞ」

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