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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
 


――私が入ったのは、こんな電話応対したいからじゃないんです!

――俺、もっと違うところで頑張ります。


 今となっては、大変なあたし達を見捨てて辞表ひとつで辞めれる社員達が、向島の手にかかっていたのかはわからない。 

 確かに毎日時間に追われるように、苦情を処理するのは辛い。

 だけど会社は、いいことだけじゃないんだよ。いやなこともしないといけない。

 会社は子供の遊びでも、腰掛けでもない。

 あたし達が作る小社会だ。だったらあたし達が動いて、乱れたものを整えないと駄目じゃないか。抜け出すのではなく、作り直そうよ。

 だが給料が出るかの状況で、ただ働きでもいいからなんとかしたいという愛社精神に溢れている子はいなかった。

 秘書課や総務はほぼ全滅らしい。

 だけどムーン時代から居る経理のおばさまが残ってくれた。

「ええ。私が最後まで皆さんにお給料出しますから、安心して稼いで頂戴」

 総務のすべてを知るこの女性とは、お金が絡むこと以外には話したことがないけれど、かなり心強かった。

 営業は結城と衣里のおかげで、部下達は辞めると言い出せないらしい。毎日顧客に怒られながらも、ふたりが自腹切ってご飯を食べさせていたせいか、なんとか脱却せず連携をとっている。

 プログラム開発部は杏奈だけ。WEBは課長、あたし、木島くんと、あとデザイン課の女の子ふたり、システム開発の男の子がふたり。

 各課8人は最低抱えていた会社が、ここまでになってしまった。

「逃げる顧客を捕まえるだけだと、会社が持たない」

 社長が言った。

 確かに今のままでは、十分なサービスを提供できない。

 でも顧客の対応をするので精一杯の状況だ。


「結城さん」


 課長が、強い目をして結城を呼ぶ。


 熱を出していたのに、遅くまで会社に残り朝早く来る。

 一番新しくこの会社に来たというのに、よく考えてくれているのが嬉しくてたまらない。

――守ります。

 ゆっくりお礼をいっている時間はなかったけれど、いつも課長に感謝している。本当にありがとう、課長がいなければ会社はもう完全な危機だった。今まだ余力があるのは、課長のおかげだ。
 
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