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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
「今のあなたは、営業用の猫ではなくて、なにか虎でも被っているようです」
「営業用の猫?」
………。
猫、かぶりってこと!?
あたしは内心地団駄を踏む。
「なにがあったんですか?」
「なにもないですから!」
「……どうしても言わないつもりなんですね」
課長の唇が薄く開く。
そこからはスローモーションのように。
課長の身体が動いて、あたしの腕を引くとその身体であたしを包み込んだ。課長の匂いで噎せ返り、目がチカチカしてくる。
「ちょ、課長」
「マーキングです」
「え?」
課長はあたしの首をぺろりと舌でなめると、あたしが竦み上がっている間にあたしのブラウスのボタンを外した。
「課長!」
課長を突き飛ばそうとする手は指を絡めて握られ、前傾になった課長の唇がキャミ越しの胸の谷間に寄せられ、強く吸い付かれた。
「ひゃあっ!!」
熱さと強さで、胸がじんじんする――。
さらさらとした髪が胸元に揺れると、倒錯的な気分になってきた。
課長の頭をぎゅっと両手で抱きしめて、もっと核心を触って欲しいとせがみたくなるような……。
課長の匂いに、のぼせてくる。
「なんて顔するんですか」
課長が胸のところからあたしを見上げて、切なそうに目を細めた。
「そんな顔されると、……我慢できなくなる」
背を戻して立ち上がり、見下ろすそのいつもの位置で、課長は繋いだままのあたしの手を自分の口元に持って行くと、あたしの手の甲を舌を出して舐めた。
「っ!!」
その感触より、挑むような熱い課長の目にぞくぞくする。
課長の吐き出す息に、押しつけられる熱い唇に、なぞられる濡れた舌に、あたしの肌が甘く疼いていく。
課長は反対の手でぐっとあたしの尻を押して、自分の身体に押しつけた。
「!!!」
課長の股間の膨らみを感じた。
「逃げないで」
身じろぎしたのは怖がったからではない。
喜んだのだ。
こんな時に、こんな場所で、求めてくれていることに。
課長の家のお風呂で、触った時のことを思い出す。あの時の感じている課長の声を思い出すと、身体が濡れてくる。