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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
「この度は、故意的に攻撃されたといえ、弊社のサービスを利用して下さっている各社に大変迷惑をかけました。貴社は直接的な被害はなかったとはいえ、この度の騒動はご存知だったはず。信用を失うような真似をして、本当に申し訳ありませんでした」
額が畳に擦れる。
「社員一同力を合わせ、再びこんなことがないように邁進致しますので、どうか今ひとたび私共を信じて、このままサービスを続けては頂けませんでしょうか。より一層のサービス向上に心がけ、様々な企画も考えていますので、優先的にご案内致します」
「結城くんに何度も何度もうちに来られているけど、辞めるという意思表明はそちらにしたはずだ」
「継続をお願いしに、本日打ち合わせの時間を副社長に設けて頂きました。どうか再考して頂けませんでしょうか」
お願い、お願い!!
「お願いします!! またそちらのシステム管理をさせて下さい。二度とあのような失態は起こしません。それに技術者を補強したので、今までにない画期的なご提案を出来ると思います」
わかって。わかって下さい。
「辞めるなど言わずに、どうか私達を信じて、継続してください。どうか「向島に行こうと思ってる」」
あたしは顔をあげた。額がひりひりする。
「お願いします。どうかうちに」
「向こうの方がコストも安いし、実績がある」
「……お願いします。向島に負けないサービスをしますから」
「お前はどんなサービスをしてくれるの?」
「え?」
「こういうのはギブアンドテイクだろう? お前もそのつもりで来たんだろう?」
やはり、こういう展開になるのか。