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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
その時である。
ズカズカと足音が聞こえたかと思うと、
「お前はなにやっとるんじゃ――っ!!」
嗄れた怒声が聞こえ、頬を殴られた副社長が宙に飛んだのは。
白髪の体格のいいスーツを着た男性が、拳を突きだしている。
「まさかとは思ったが、なにやっとるんだっ!! 犯罪だぞ!!」
この方どなたで?
……あたしを助けに来てくれた王子様は、誰ですか?
なんか…、怖いんですけど。
呆然としているあたしの身体に、上からばふっと背広が被せられた。
ああ、この匂い――。
「大丈夫か!?」
「課長?」
黒髪を振り乱した、……これは香月課長だ。泣きそうな顔をしているのに、出るのは語気の強い言葉だ。
「挿れたられたのか!?」
夢にしては卑猥で、現実ならもっと卑猥過ぎる。
ありえないよ、あのインテリがこんなこと聞くなんて。
「あてがわれただけです……」
あたしもなんで正直に答えているんだろう。
ぎりと課長が歯ぎしりするのと同時に、おじいさんから声が聞こえた。
「お前、落とし前をどうつけるんだ!! 儂は見て聞いたぞ、お前がその子を無理矢理襲っているのを。前にあんな目にあったのに、まだ懲りないか!」
……前になにかあったらしい。
「と、父さん。これは合意で……」
父さん? このおじいちゃん副社長の父親?
だったらこの方、会長!?