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いじっぱりなシークレットムーン
第6章 Wishing Moon
 

 あたしが課長を愛おしく思うのも、薬のせいなのだろうか。

 たまたま抱き合える相手が課長だったから?

 隣に結城が居ても、残った理性で愛おしいと思ったのだろうか?


「俺を見て」

 共にベッドに転がりながら、課長が真剣な顔で言う。


「俺をあなたの余裕で捨てないで」

「余裕……なんてない」

「嘘。あなたは他のことを考えられる余裕があるじゃないか」

「それは……」

「俺はあなただけしか考えられないのに」

「……っ」

「あなたのことだけを考えている。今も、九年前も、あなたの身体に俺を刻みつけて、俺のものにしたくてたまらない」

「え……。九年前?」

 あたしは、行きずりの彼を拾っただけだ。

 課長はあたしを抱きしめ、あたしの肩に顔を埋めて呟く。

「二週間後に言う。俺の気持ち」

「………」

「言わせてね」


 課長は起き上がる。


「だから今は、その時じゃないから、俺は服を着てる。二週間後のために」


 あたしの頭の上で、課長が頬をすりすりしているようだ。

 その動きであたしの下半身に堅いものがあたる。


「辛くないの?」

「辛いよ?」


 課長はあたしと目線を合わせた。

 欲情した琥珀色の瞳で。


「あなたのナカに挿れたいよ。だけどあなたを失うなら、我慢する」

「でも……」

 かなり膨らんでいるような……。


「あなたは落ち着いてきたの?」

「うん。少し」

「よかった。もっと薬盛られていたら、もっと凄いことしないと駄目だった」

 課長は目を細めて笑う。

 凄いことってなんだろう。


「残念。凄いことしたかったのに」


 だから凄いことってなに!


「ちょっと休憩しようか。俺も、あなたの可愛い姿見続けたから、本当に辛いから……」

「お手伝いします」

「え?」

 想像してしまったのだ。このズボンの中身が、課長の家のお風呂で握ったあの熱くて太いものであるのなら、また触りたいと。あの感触が思い出されて、ぞくぞくして濡れてきてしまう。

 媚薬のせいなのか、違うのか――。


「手とお口だったらどちらがいいですか?」

 口に含みたいとすら思う。

 とても愛おしいもののように思えてやまないのだ。


「は?」

「課長に気持ちよくなって欲しいんです。課長のイク顔が無性に見たい」

 

 
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