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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
その時、受話器を肩と傾けた顔の間に挟んだ結城が、片手を上げて振った。奴なりの挨拶だ。
両手を振って元気アピールで返してたら、課長の涼やかな声。
「では早速、この資料を見て頂きたいんですが」
おっと遅刻した身、仕事以外を優先してごめんなさい。
課長が紙の束をもって椅子のキャスターを転がしながら、こちらにやってきた。どれどれと紙を覗き込むと、
「……っ」
机下であたしの左手をとられて、課長のお膝の上。
な ん で す か こ れ は!
この馬鹿力!
ふーふー言って手を動かそうとしても、課長の力には敵わない。睨み付けると、課長は美しい笑みを向けてきた。
「どうしました?」
「いえ」
「ここなんですが……」
課長の手が動き、指の間に課長の指が収り、もぞもぞ動いてあたしの手を撫でているようだ。
そんないやらしい動きしないでよ。
ずっといやらしいことして何度もイッちゃったの思い出すから。
課長は涼しい顔であたしに説明している。机の下でこんなことをしているなんて、誰も想像すらしていないだろう。
言われていることは確かに重要事項。課長の提案はいいのだけれど、如何せん手汗びっしょりになっているだろう手の方が気になる。
本気で身体がむずむずしてくるんだ。
「か……ちょっ!!」
ほとほと困り涙目で口を尖らすと、課長が優しい顔であたしを見て、課長もお口を尖らせてくる。
真似なのかキスなのかわからないけれど、後者にとってしまったあたしは、離れない課長の手ごと課長の太股を叩く。
「ねぇ主任」
突然机の奥の方から木島君の頭が見えて、あたしは悲鳴を上げる。
「生首!!」
すると木島くんが慌てて立ち上がった。
よかった、頭は首についてる。