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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
「な、長いおみ足で」
「どうも」
屈んでくぐり抜けようとしても結城の足が上下する。
「い、一体何の御用でしょうか」
「ちょっと聞きたいことあるんだけど。お前香月と……」
あたしは言った。言われる前に自白した方がいいと。
「ごめんなさい、手なんか繋いで。決して意味はない……」
「はあ!? 手を繋いだっていつ!!」
え、それじゃないの!?
「まさかさっき、打ち合わせだと称して並んでいた時か!?」
自爆決定。
「打ち合わせは打ち合わせなの! ちゃんと打ち合わせしてたんだけど、ちょっとあたしミスって、お仕置きで手を抓られてて。はは……」
ごめんよ、結城。
「かあああ! 香月に頼むなんて言わなきゃよかった。あいつの顔いつも通り平然としてたのに、そんなセクハラしてるのか! お前をでれでれさせてる裏で」
「でれでれとは失礼な」
「でれでれだろうが。そんなに手を繋ぎたいなら、俺が手を繋いでやる。俺にでれでれしろ」
「この俺様……」
結城に無理矢理に手を繋がれてしまった。
しかも指を絡めた恋人繋ぎだ。
「小林商事の会長から電話来た」
ドキン!
「契約は続行だと」
手を離すタイミングを失った。
「よ、よかったね、結城~」
きっとあたしの手は、意味ありげな汗を掻いていることだろう。
「会長に言われた。"もう息子にはあんなことさせませんので、どうか鹿沼さんのことはご内密に"」
「!!!」
「しかもさ、小林商事から香月にかかってきた電話だったのを、うちの社員が間違えて俺に繋いだらしい」
「!!!!!」
「最後に、"昨日はありがとうございました、香月さん"と挨拶されたけど、お前達昨日なにしてたの?」
「い、いや別に……」
会長、ちゃんと電話の主を確かめようよ。