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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
「お前が俺を見てくれるのなら。最終的に俺を選ぶのなら、それなら今香月にふらふらしてもいい。目を瞑る。……俺を求めろ、陽菜」
結城の唇があたしの耳をなぶる。
「ちょ……」
「今まで近くに居たのは誰だ。お前が隠したい満月の夜、お前が相手に選んでいたのは誰だ。誰がお前を抱いていた」
「結城……」
「告ったのに、お前の心がねぇのが不安で仕方がねぇよ。ちょっとでもいいから、俺に心くれよ。友達じゃない、女の心を」
結城の手が、あたしのスカートを捲って太股を下から上にさすってきた。
「ちょっ」
「満月以外でお前を抱けば、俺を男だって意識してくれるか。ここでお前に盛れば、お前は……」
「結城っ!!」
思わず頭突きをした。
ダメージが思いの外大きくて、あたしも結城も呻いてしばらく動けなかった。
「昨日香月に助けられてそのまま解散したんじゃねぇんだろ?」
「え……」
「昨日と今日のお前、違うから。だから……我慢できねぇ。いつも抑えていたのに、俺はあいつに嫉妬してる」
「結城……」
「あいつが羨ましくてたまんねぇよ」
「………」
「だけど、俺……あいつとうまくやっていきてぇんだ。どんな理由があったにしろ、あいつが会長を動かして契約は続くことになった。そう思ったらさ……」
結城は泣き出しそうな顔で笑った。
「お前を手に入れて、あいつと会社立て直したいのって……過ぎた望みなのかな。俺もどちらかを選ばないとだめなのかな」
切なくなる。
あたしは結城が好きだ。
好きなのに、恩も感じているのに。
「満月以外にも、お前を抱きたい。満月じゃなくても、お前に男として触れてお前に受け入れられる香月が、妬ましくて仕方がねぇ。……どこでねじくれたんだよ、こんなはずじゃなかったのに……」
結城と同じ意味で好きだといえないのが辛すぎて、涙が零れた。
受け止めると思った結城の想いは大きすぎて。
あたしの心に結城がねじ込んで来る度に、課長を映した鏡が割れて、鋭い欠片があたしの心を内側から切り裂いていく。
痛いよ、心が痛い。
だけど、結城の方が痛そうな顔をしている。
――一週間後、俺の気持ちを言う。だから……結城さんを選ばないで。結城さんの元に行かないで。
課長、あたし結城を置き去りに出来ない――。