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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
「それ、私は知っていること?」
あたしは静かに頭を横に振る。
「私と課長どちらかに言わないといけないのなら、どっち?」
「衣里。衣里の方が理解しようとしてくれる」
即答すると衣里が肩眉を跳ねあげた。
「なんで課長はそう思えないの?」
「……怖いの」
「怖い?」
「蔑まされて、目の前から消えるのが。衣里や結城と積み上げてきた年数分の信頼感がないから、居なくならないと断言できない」
「結城が知ったのはいつ? 結城が陽菜の秘密を知ったのは、最近なの?」
「いや、大学時代……」
「あんた達が出会ったという大学3年?」
頷くと衣里がため息をついた。
「陽菜。言ってることとやってることが矛盾してる」
「え?」
「信頼関係が今ほどないそんな初期に、あんたは結城には自分を晒した。だったら課長に晒せないのは、信頼関係とか関係ないよ。結城には蔑まれてもいいと思えた。だけど課長には嫌われたくない……。私的には、もう答えが出ている気がするけど」
「……っ」
「だけど恐らく、その秘密を課長に言えるくらいにならないと、或いはなにかの問題であるのなら解決して、結城を離すか……課長もそうだけど、結城とも始まらないんじゃない? そこがネックのように思えるけど」
満月の問題の解決――即ちそれは、課長に寄り添うなら、課長にすべてを話して満月の夜、結城ではなく課長になだめて貰う。
或いは結城に寄り添うならば、課長とのすべての約束を反故にして、結城だけを見つめる――。