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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
プログラムは、人工知能を除いて、自分で考えてそれに応じてアクションを起こすことが出来ないため、人間がその都度プログラムで指示しなければならないのだ。
ガラケー主流だった頃は、ネットにアクセスした媒体を判別するプログラムによって、ガラケーだったらガラケーが対応するプログラムで書かれた頁に、ガラケー以外だったらPCが読める頁に自動的にジャンプさせる方法を取って、二種の頁を作っていたが、スマホやタブレットなど媒体が増えてしまってからは、PC寄りだけれど制限があるスマホ用、レイアウトサイズを考えなくてはならないタブレット用など、PCでは出来ないタッチアクションのものも含めて、分岐の種類が増えるにつれて考えて作らないといけない頁やプログラムの種類も増えた。
顧客はどこの媒体から多く入ってくるかわからない。だから制作者もかなりの手間がかかっていたものだ。
それを杏奈は、サーバーにも、簡単に言えば「どの媒体でも同じ表示をさせなさい」という互換プログラムを作っていて、そのサーバーにFTPソフトなどで転送されたすべてのデータは、問答無用で……媒体の画面サイズに応じてレイアウトは変わるが、どの媒体でも見ることが出来、さらにはアプリケーションソフトも同様に使えるものを、課長と協力して作り上げている。
さすがに有名どころのワープロソフトや表計算ソフトはライセンスの問題があるから、そうした既知のソフトについては、それがインストールしていないために使えない媒体において、自動互換して使えるうち独自のプログラムも入れてある。イメージ画面を見せて貰ったが、本家より使いやすい。
それをパッケージとして買って貰うのではなく、全社員数のランクに応じた格安のランニングコストで、サーバーごと借りて貰うのだ。
つまり先方でひとり使おうが、百人使おうが、うちに支払われる金額は同じである。だがうちにしてみれば、先方都合でなにも使わない時があろうとも毎月支払いが生じる。