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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

「俺の代わりに社長を頼む。なにかあれば真夜中でもいつでもいいから、電話を寄越せよ」
『はい、わかり……もう、朱羽くん聞いてよっ!!』
沙紀が帰ってきたようだ。
『あの医者強いったらありゃしない! この私が、引き分けなんて~!』
そうか、沙紀と引き分けだったのか。
『悔しいことに、あいつタバコくわえたまま全く本気出してなかったの。それなのに、私勝てなかったの! 朱羽くん、スマホなんていいから』
ぶちっ。
……まあいいさ。沙紀に相手にされてなくても、あの医者の方がお気に入りだとしても……よくないだろう、それは!!
俺達は相思相愛で、いずれ結婚する仲だ。
朱羽に、好きな奴から愛される喜びというものを与えてやりたい。世界が変わること、俺は沙紀によって知ったから。
……カバ、決して「同情」で結城を選ぶなよ。
同情は愛じゃねぇんだぞ?
俺は、お前が自然に朱羽を目で追うようになった、お前の心を信じたい――。

